日常的に利用されるLPガス機器の安全性の確保は、お客さまに安心してお使いいただくための絶対条件です。この章では、家庭用及び業務用におけるLPガス機器の安全性、事故防止のための様々なシステムについてご紹介いたします。
LPガスが家庭用エネルギーとして利用されるようになったのは、1952年(昭和27年)頃からで、以来半世紀以上にわたり利用されており、現在では全国で約2,500万世帯にまで普及しています。この普及拡大の原動力となったのは、普及当初から進めている自主保安運動や、マイコンメータを中心とした安全器具及び安全装置付きガス器具の全国的な普及など、LPガスの総合的な安全システムを構築したことに因っています。
LPガスの事故発生率は0.90件/10万世帯(平成23年実績)、死亡事故発生率は0.004人/件(同)と、極めて低くなっています。これは、「家庭内における不慮の事故」※ による死亡事故発生率(31.09件/10万世帯、平成23年実績)と比べても大幅に低い数値であることが分かります。
※「家庭内における不慮の事故」とは、家庭(生活を営む住居・敷地内)で発生した事故全般をいう。(平成23年度は、16,722件)
2008年の10月の法改正により、ガスコンロへの「調理油過熱防止装置」「立ち消え安全装置」等の安全装置の設置が義務化されました。これに加えさらに安全で便利な機能を搭載した「S@センサーコンロ」の普及により、ガスコンロを原因とする火災件数は減少傾向となっています。
LPガス事故発生件数のピークは1979年(昭和54年)の793件でしたが、その後の官民一体となった保安活動への取り組みの結果、事故件数は年々減少し、平成6年にはピーク時の10分の1にまで減少しました。
その後、人損・物損のないガス漏れ事故等により平成18年に増加に転じ、直近は200件前後で推移しています。
ガス販売店はお客様の安全・安心のため日々努力しています。事故を未然に防ぐためには、ガス販売店との上手なおつき合いが重要。LPガスのことなら何でもお気軽にご相談ください。
例えば、こんろの火の着きがよくないので見てほしい湯沸器のお湯の出がよくないので修理してこんろを買い替えたいので、新製品を紹介して何だかガス臭いので点検してetc..
LPガスを安全に使用するためには、様々な機器が必要です。これまで、安全・安心の確保という観点から技術開発が行われ、既に多くの機器が実用化され、LPガスの安全・保安対策に大きく貢献しています。
飲食店や集合住宅で利用されるLPガス設備には、多くの人が密集状態で利用するという点から、特に安全性の確保が必要です。先に挙げた様々な安全機器を効果的に組み合わせることで、より堅固な安全システムの構築が図られています。
「S@センサーコンロ」は、法律で設置が義務付けられている安全装置に加え、さらに「消し忘れ消化機能」「早切れ防止機能」を追加し、また便利機能として「自動炊飯機能」や「油温度調節機能」等を追加した最新型のガスコンロです。
2008年4月の標準化以降、その出荷台数は順調に増加し、2010年12月には1,000万台を突破しました。S@センサーコンロの普及により、ガスコンロによる火災件数は減少傾向となっています。
近年、石油FF式温風暖房機やガス湯沸器に係る死亡事故等、製品の経年劣化を主因とする重大な事故が発生していることを受け、消費生活用製品安全法に基づき、2009年4月1日より「長期使用製品安全点検制度」が創設されました。この制度は、消費者自身による保守が難しく、経年劣化による重大事故の発生のおそれが高いもの(特定保守製品)について、消費者による点検その他の保守を適切に支援し重大事故の発生を未然に防止することを目的として、事業者及び所有者に以下のような義務・責務を課すものです。これにより、より安全かつ長期的にガス機器をお使いいただけるようになりました。
点検が必要な対象製品(屋内式ガス瞬間湯沸器、屋内式ガスバーナー付ふろがま等)を購入した場合、所有者は同梱されている所有者票を返送してユーザー登録を行う責務があります。登録された情報は、点検の通知だけでなく、製品に重大な不具合が発見されたときのリコールのお知らせなどにも使用されます。しかし、現在ユーザー登録が十分に行われているとは必ずしも言えない状況となっています。重大事故を未然に防ぐため、必ず所有者票を返送するようにしてください。
LPガス容器からガスメータの出口までの機器類を「供給設備」と言います。液化石油ガス法ではLPガス販売店に対して供給設備の「保安業務」を課しており、専門の認定保安機関が以下の業務を実施しています。
LPガスを大量に使う充てん所や工場などの保安業務は高圧ガス保安法によって規定されており、配管や貯蔵設備の気密試験や消火用設備の作動試験など、より入念な検査が実施されています。
貯槽開放肉厚測定検査 貯槽の内部から板厚の測定を行い、安全かどうか確認します。 |
配管気密試験 配管からの漏えいがないかどうか検査をします。 |
プロパン貯槽気密試験 プロパン貯槽からの漏えいがないかどうか検査をします。 |