静岡県LPガス協会はガス業界の健全なる発展を目的とした団体です。

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災害に強いLPガス

 東北や関東などの東日本を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災。
地震発生後、厳しい状況が続く中、LPガスはいち早く復旧し、また避難所や仮設住宅への緊急用エネルギーとしておおいにその役割を果たしました。「災害に強い分散型エネルギー」であるLPガスの特性と、実際の事例をご紹介いたします。

LPガスは災害に強い分散型エネルギー

 LPガスは都市ガスや電力などの系統供給とは異なり、容器に充填したLPガスを各戸に配送をする「分散型」供給を行っています。これにより、配管など供給設備の点検も短時間で済み、異常があった場合も迅速に復旧させることができます。例えば、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県、宮城県、福島県では、津波で建物が損壊又は流されてしまったもの等を除いて、地震発生後約3週間程度で大方の復旧が完了し、都市ガス及び電力よりも早い時期に全面復旧を果たしています。

 また「軒下在庫」として常時LPガスを容器にストックしているので、万が一配送が滞った場合でも、すぐにガスが切れるということはありません。例えば50s容器が2本設置されている場合、1本の容器に半分程度のLPガスが残っていれば、およそ1ヶ月程度はそのまま使用することができます。LPガスは災害時の備蓄用エネルギーとして、そのままご活用いただくことができます。

災害対応LPガス機器

「災害対応型LPガスバルク供給システム」とは?

 「災害対応型LPガスバルク供給システム(災害対応バルク)」とは、LPガスのバルク貯槽と、供給設備(ガスメーター、圧力調整器など)・消費設備(煮炊き釜、コンロ、暖房機器、発電機、ガスホースなど)をセットにしたもので、地震や津波など大規模災害により電気や都市ガス等のライフラインが寸断された状況においても、LPガスによるエネルギー供給を安全かつ迅速に行うことを目的として開発されたシステムです。

 災害対応バルクには、緊急時にすぐに使用できるようにマイコンメータやガス栓ユニットが標準装備されており、ワンタッチカップリングを使えばガスコンロや暖房機器などを簡単に接続することができます。また、バルク貯槽のサイズには300kg、500kg、1,000kgの3タイプがあり、平常時は通常のバルク貯槽として使用することができます。

災害初期対応用として十分な供給能力

 災害発生時の初期対応において、外部からの救助・支援が期待できない発生直後の3日間程度をいかにして乗り切るかが、最も重要な課題とされています。災害対応バルクの使用可能時間は、貯槽内のガス残存量及び消費機器のガス消費量に依存しますが、図に示すような前提で試算した場合、LPガスが貯槽内に約半分程度残っている状態で、約4日間程度の間LPガスを使用することが可能であり、災害時の初期対応に十分な供給能力を持っています。

避難所(小中学校、公共施設等)における災害対応バルクの設置イメージ

災害時に役立つLPガス

災害時に災害対応バルク等のLPガス供給を確保することによって、煮炊きや暖房、発電などの機器を使用することができます。移動式の供給設備や発電機をセットにしたものなど、現在各メーカーから様々な機器が市販されています。

■ENEPO
(本田技研工業梶j
■MGC900GB/GP
(三菱重工業梶j
■EU9iGP(本田技研工業梶A
矢崎エナジーシステム梶j
定格900VA、カセットボンベ2本で約2時間使用可能 定格850VA、カセットボンベの他、5kg容器に接続して約10時間の使用が可能
(LPガス容器に接続して使用する場合は付属の専用レギュレーターが必要です)
専用ガス供給ボックスにより、ご家庭にある50kg容器を利用して長時間の発電(定格900VA)が可能
■高度型災害対策用バルクユニット
「JSS-GE」(富士工器梶j
■LPガス非常用発電機
「LEG Power(レグ・パワー)」
(岩谷産業梶Aデンヨー梶j
■炊き出しステーション
(岩谷産業)
公民館や学校等の緊急避難所用に災害対応バルクと発電機(10kVA)を併設、停電と同時に自動的に運転を開始して電気を供給することも可能 出力容量34kVA、12kVA(三相機)と20kVA、9.9kVA(単相機)を備え、公共施設や病院、マンションなどの業務用施設の非常用電源として使用可能 安全面に配慮した実用性の高い炊き出しセット。同時に50〜120人分の調理が可能で、収納時もコンパクトに。
■災害時対応ユニット「SGU-4」「ISU-4」(伊藤工機梶j
「SGU-4」ユニット本体。
既設のバルク貯槽に取り付けることにより災害対応バルク化(写真は高速道路のSAに設置されたもの)
「ISU-4」ユニット本体。容器(50kg×4本)と接続してLPガスを供給。トラック等に積載してどこにでも持ち運びが可能

災害時に活躍するLPガス

東日本大震災をはじめとする大地震や豪雨などの自然災害に見舞われた被災地域において、災害に強いLP ガスはおおいにその特性を発揮しました。以下のその一部をご紹介いたします。

※写真提供:叶ホ油化学新聞社プロパン・ブタンニュース

避難所等で使用されるLPガス

避難所で利用されるLPガス 仮設住宅に設置されたLPガス リアカーで容器を運搬
(写真は訓練時のものです)
仮設住宅(南相馬市)での供給設備設置工事 避難所(埼玉県加須市)に供給設備を設置 炊き出し(石巻市)
災害対策緊急車により容器を搬送 サウジアラビアからの支援物資(カセットコンロ・ボンベ)を搬送

LPガス業界の防災活動

消費者団体との連携事例

 LPガス業界では、全国地域婦人団体連絡協議会と連携し、各地域の婦人会・女性会などが実施している「防災学習会」に協力を行っています。この取り組みは、地域住民と行政の防災担当者・LPガス事業者が参加し、防災に関する取り組みや方針について相互に理解を深めることによって、地域の実践的な防災力の向上や防災対策の改善を図ること等を目的に実施されています。2011年度は全国で49回の会合が開催され、約4,000人の方が参加しました。

都道府県協会の活動

 全国47都道府県にあるLPガスの協会では、行政との連携として「災害対策本部」の設置、「災害基本法に定める指定公共機関指定」「国民保護法に定める指定」「災害時のLPガス供給に関する協定」の締結を推進する一方、二次災害防止のための情報提供を迅速に行うため、テレビ・ラジオ局との連携も積極的に推進しています。

防災士取得の推進

 LPガス業界では、防災のための人材育成の一環として、NPO法人「日本防災士機構」が認証する防災士の資格取得を推進しています。現在(2012年8月末時点)全国で約53,000人がこの防災士に登録されており、緊急時に行政や民間団体と連携して避難誘導や救命救助、避難所の世話など公的な救援活動の補助を行 う他、平時には官民共同の防災訓練やセミナーの開催など、様々な防災活動を行っています。各LPガス事業者は自社社員の防災士取得を推奨することにより、地域防災への積極的な貢献を果たせるよう日々努力しています。

一般のお客様へ

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